企業年金リストラクチャリング―確定拠出年金法・確定給付企業年金法に対応 新世紀の選択プラン 価格:¥ 2,100 納期:通常1〜2週間以内に発送 人気ランキング : 101,069位 定価 : ¥ 2,100 販売元 : 中央経済社 発売日 : 2001-11
本書は2部構成からなる。前半は退職給付の再構築のためのDC(確定拠出年金)、DB(確定給付企業年金)の解説と既存制度からの移行の解説である。後半は企業年金の基礎知識として、給付設計・退職給付会計・年金現価率・財政運営基準・資産運用の基礎を解説している。 本書の優れている点は、第1にさりげない記述に著者の博識がにじんでいる点であり、このため制度の背景から理解できる。例えば、ポータビリティーの議論について、中途給付の無い欧米と中途給付が一時金としてある日本では異なる点についての指摘がある。また、退職給与引当金税制の廃止も、国際競争力の強化の観点から法人税を引き下げたことによる点を言及している。第2に教科書的な説明に止まらず、実務的に重要なノウハウを披瀝している点である。例えば既存の退職給付を確定拠出年金に切り換えたところで、それまでの勤続にかかわる給付に関する費用の認識は必要になる点である。第三に著者自身のオリジナルなアイデアが書かれている点である。例えば企業年金に関する問題点の多くが受給者に関するものであるとして、「退職者年金通算センター」を提案している。第四にユニークな図解がある点である。特に図1−3の退職金・企業年金の見直しの視点の図は一時金を後払いと前払いに分けて非常にわかりやすかった。
景気の低迷や退職給付の新会計基準導入で、今、企業は四苦八苦している。少しでも余分な経費を圧縮し業績の回復に躍起になっている。そんな中、注目されているのが年金制度の見直しだ。金額が大きいという点でも当然なことであるが、従業員のモチベーションを維持しながら如何にコストを削減できるかがポイントとなっている。しかしながら、年金制度は難しい。増してや、労働争議にまで発展しかねないものなので不用意には手が出せない。そこで勢い年金制度コンサルタントに相談することになる。年金コンサルタントとて人の子であり神様ではない。昨今の年金制度の改革のスピードは異様に速く百年掛る事が二、三年で行われている。こういった状況下、本書が威力を発揮するものと思う。本書の背景にちなみ、著者久保知行氏の博士論文(要約解説版「退職給付制度の構造改革」/詳細は本書をご覧願いたい)があり、著書の理解の深さが現在の混沌とした状況の中で灯台のサーチの如く我々を導いてくれている。コンサルタントはもとより、企業の労務担当者にも理解し易いように図表や構成マップによる工夫もされている。誠に良い本が出たものだと思う。